第53話
ーーー、
帰りの車内、行きとは違う、”悪い空気”が流れていた。
2人きりで食事なんて。奏は何考えてるわけ?
『今日はお会いできて、良かったです。』
そう微笑んで甘い残り香を残して帰って行った瑠璃子。
見送る奏は相変わらず無表情だったけど、なんだか楽しそうだった。
「奏の浮気者。」
「あ”?」
凄んでくる奏なんて怖くないもんね。口を尖らせて抗議の目を向けた。
「あの女がいい女でも、俺はゆいかちゃんの味方だから。浮気者め。」
「意味不明だ。キモい。」
呆れたようにため息を吐いた奏からツンと顔を逸らした。
「・・・ゆいかちゃんに顔向けできないよ。」
ボソッと吐かれた言葉は、本心からだった。
このスケベ浮気男のことがゆいかちゃんにバレちゃったらどうするわけ?
組が潰れる。絶対そうだ。
ゆいかちゃんが拳を挙げれば、付いてくる組員は絶対いるし。俺もその一人だし。
「まっすぐに、彼女の目が、見れますか?」
「・・・シネ。」
目を細めてそう言った俺に、今日2回目の死ね発言。
・・・酷くね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます