第45話

side 奏




「てめぇのせいだ。」


「はぁ?近衛財閥(このえざいばつ)の仕事は奏が命令したんじゃん!『そろそろ手を出す』とか言ってニヤついてたの誰?」


「あ”?」


「・・・さーせん。」




ゆいかの機嫌?言うまでもねえな。最悪だ。


あの後笑顔のゆいかに、


『仕事でしょう?…行ったらどうかな?』


低い声でそう言われ、追い出された。



秋が俺が恋しいって泣いてんぞ?


そう言ってなんとかその場に留まろうとした俺に失笑したゆいかは、秋をゼリーで釣るなんて姑息な真似をしやがった。



キスする隙すら与えずに俺と隼人を追い出したゆいかは、一切メールの返信をしない。



[ゆいか、心配すんな。]


そう送ってみるも、俺の携帯はウンともスンとも音を発さない。



数件送ってみるも反応が無いから、


[なんかあったら消せばいい。]


そう送ってみれば、


[それはダメ。ちゃんとお仕事してください。]


それだけが返ってきて舌を打った。



そこで隼人を責めてみたんだが、生意気なことに口答えしやがって。



シュンとする隼人がキモくてとりあえず万年筆を投げてみれば、見事に腰に刺さって落ちた。



痛がる隼人を見て今度抗争でドスでも投げてみようかと思っていると、携帯がメールの到着を知らせた。



[嘘だよ。信じてるから。]



「・・・。」



あいつは俺の”ツボ”を、知っている。

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