第39話

『私たちは、さ、殴ったり、貶したりはしてないけど、新見さんをあの教室で孤立させてたんだよ?まりかちゃんの言葉だけを信じて、先生に酷い扱いされてるの見ても、見てただけじゃん。』


『『・・・。』』



他2人が黙り込んだところで、振り返った。



喧噪の中、その空間だけが切り取ったように重苦しくて。


終始オドオドとしていた女はなにか決意を込めた目で睨みつけている2人を見つめ返していた。



『私は中学の時、なんか違うと思った。だから、新見さんに謝った。』


『なにそれ、抜け駆けじゃん。』



そう吐き捨てた1人に、女は顔を歪める。


『うん。私はあの時、新見さんの仲間になりたくなくて。まりかちゃんが怖くて。みんなに内緒で、謝りに行ったの。』



苦々しく言った女の表情は、後悔を滲ませている。



『だけど、無理だった。私のそんな考えも新見さんはお見通しで。言われたの。「うん、分かった。」それだけを言って、馬鹿にしたような笑みで、許すわけないじゃない。…そういう目で。』



その言葉を聞いて、俺の胸が軋んだ。


昔のゆいかは、そんな目をしていた。他ならぬ、俺に向けて。


女の苦しそうな顔が昔の自分とダブって。背中を冷たい汗が流れた。

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