第35話
side ゆいか
どうでも良かったわけじゃない。
だけどあの場にいる意味が無かった。
『久しぶりだね。』それしか言うことが無いから。
クラスメイトなんて、そんなもの。特に私と彼女たちは、それ以下の関係だから。
思い出なんて皆無。私の存在すら気付いているかも分からなかった彼女たちとあの場にいるくらいなら、私は奏の元へ急ぎたかった。
だけど。
分かってはいても、同窓会の知らせすら来ない自分の現実が、とても悲しくて。
バカなことだと思っていても、気にすることなんてないと分かっていてもなんとなく悲しくて。
結果、お兄ちゃんを悲しませてしまった。
さっきの彼女たちは、私があんなに失礼な態度を取ったのに、後ろを付いてきていた。
目当ては隣の2人なんだろうけど。
これがただのうぬぼれならいい。彼女たちの目的が駅ならいい。
だけど。自分たちの”儲け”のためなら、人は穢く、いやらしいことを知っているから。
特に信頼のない彼女たちを、信じることなんてできないから。
奏を見習って気付かないふりで無視しちゃうことにした。
だって私には、彼女たちよりも優先すべき人がいるから。
タバコの煙で鋭かった奏の目が少しだけ緩んだのを見て、頬が緩んだ。
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