第33話

「マジでキレー!」


「あの服もほんと似合ってる!」


「キレ―…。」



興奮する2人は手を合わせあって興奮していて。もう1人は茫然とゆいかを見つめていた。



「あの、もういいかな?急いでるから。」



そう言ったゆいかは彼女たちを見つめる目になんの感情も映してはいない。


もはや、ゆいかの中での彼女たちは存在を認められていなかった。



踵を返したゆいかは、若の元へと足を急がせる。



だけどなんでだろう。昔のゆいかよりも、追う背中が悲しく見えるのは。



それを追いかける蓮は、さっきまで機嫌の良かったその鷹の様な目を怒りで彩っていた。



「あ、新見さん!?」



行ってしまったゆいかを目を見開いて見ている彼女たちに、向き直る。



「それじゃ。もし会えば、”まりかによろしく”」



そう言って俺も踵を返した。




少し小走りで追いついた俺に、ゆいかは自嘲の笑みを浮かべて口を開いた。



「いいね。同窓会なんて、私は呼ばれないね。」


「ッッ、」



俺の歪んだ顔を見たゆいかは、苦笑いで続ける。



「過去を全て、捨ててしまえればいいのにね。」



まっすぐに前を向くゆいかは、小さく首を横に振る。



「だけどそれは無理なの。私の過去があるから、奏と出逢えた。過去を捨ててしまえば、奏との素敵な思い出も色あせてしまうから…」

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