第26話
「うーん…待ち合わせまで時間があるから…」
着替えてる時に着たメール。
[15時、駅前噴水。時間厳守だ。黒のワンピース希望。]
そんな奏の簡略的なメールを前に、緩む頬を抑えきれない私は、保護ボタンを押しました。
今はお昼前。15時までは結構時間がある。
もちろん、普段出かけない私には行きつけの店なんていうのはほぼ無くて。
行ったことがあるのが【抹茶】くらいだっていう悲しい事実に気付いた。
もう抹茶でよくない?なんて投げやりな考えが浮かんできたところで、蓮が口角を上げた。
「本屋でも行くか?」
「行く。」
即答の私に、蓮とお兄ちゃんが同時に噴き出す。
そう。そうだよ。そうそう。
本屋がある。
いつもはネットで見た本を鉄さんが注文してくれるから行ったことがないけど。
私、常連じゃない?
「早く行こう。」
「っ、ん。」
お兄ちゃんの服の裾を握ると、目を見開いて。
私がそれを不思議そうに見ていると、お兄ちゃんはなぜか睨んでる蓮に苦笑いを返して歩き出した。
お兄ちゃんはこうでもしないと隣を歩かないから。
3人並んで歩いている自分たちを見て、胸が弾んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます