第21話

だから今日は……



「これが、私達の”普通”でしょう?」


「・・・。」


不満そうな奏を見上げると、タバコをもみ消しながらため息を吐いた。


「チッ、お前がいいんなら、いい。」


「でもね、今日はエッチしないから。」


「あ”!?」


今日一番…というか最近で一番の不機嫌な声が…


苦笑いの私は責めるように睨んでくる奏の胸元の服を引っ張る。


ビクともしない奏を一所懸命両手で引っ張って。


渋々といった感じで身を委ねた奏をベッドに沈めた。


「お前は俺が可哀想だとは思わねえのか?」


悲痛な声を出す奏が本当に悲しそうで。エッチが出来ないだけでこの世の終わりみたいなリアクション。

噴き出しそうな私は笑いを堪えながら奏の上に馬乗りになって跨った。



「いいだろ?」


変態親父みたいなセリフを吐く奏は、私の太腿に無骨で大きな手を這わせていて。


私はゾクリと沸き上がる快感を抑えこんで声すらも殺す。


それに口角を上げた奏にいつもはこのまま流されるけど、今日は、ダメ。



「ちがくて。」


「なんだ。生理はもうちょっと先だろ?」


「・・・。」


妻の生理周期を妻より把握している旦那様って普通なのかな?



眉を下げた私は首を傾げた。

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