第22話
side 奏
「なんだか、今日はくっついていたいんだもん。」
そう言って俺の上にしな垂れかかってきたゆいかの、後頭部を撫でた。
「ククッ、馬鹿野郎。くっつくどころか、中に入ってんだろ。」
「っ、もう…」
諦めきれねえ俺の言葉にゆいかが抗議の潤目を向けるが、それも刺激にしかならねえ。
内心苦笑した俺の腰に手を回したゆいかは、強く、強く抱きしめてきた。
ゆいかの頭のてっぺんに顎を置いて、抱きしめ返してやる。
お互い無言でただ抱きしめあっているのも悪くねえが…
「大丈夫か?」
「ん。」
膨れ上がっていたゆいかの不安は、これだけで四散するんだろうか?
ゆいかを抱きしめたまま、体を動かして体勢を変えた。
見下ろしたゆいかの笑みを、探るように見つめた。
すると一転、戸惑ったように揺れたゆいかの瞳。
安心を与えたくて。瞼にキスを落した。
「あの、ね?」
「ああ。」
眉を下げたゆいかは、恐る恐る、口を開く。
「大学…寂しくなったら、電話しても、いい?」
「ッッ、」
ゆいかが、悪い。
「っ、そ「黙ってろ。」」
やはりこれが俺たちの”普通”だ。
俺を煽ったゆいかに深い口づけを落としながら肢体を抱きしめた。
……fin、
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