第18話

side 弘人




ーーー数分後、



「はうっ、んっハハハ!…ってぇ、」



「「「・・・。」」」



何故かツボに入ったらしい隼人は未だに笑っていて。


無理矢理笑いを収めた偉い俺は内心ほくそ笑む。



気付いてないんだもん目の前の2人の様子の変化に。


流石クソ隼人。



ゆいかちゃんが最早”どん底”という言葉がしっくりくるほど落ち込んでいて、それを見た奏の目の温度が氷点下を下回った。



そろそろ女の呪いよりも恐ろしいものが爆発すると俺がニッコリと微笑んだ瞬間、



ガツッ、「ウ”ッ!」



もの凄く鈍い音が聞こえたかと思えば、隼人が額を抑えて椅子から転げ落ちた。




「不思議だな。俺の懐にあったはずの物が勝手に動いて隼人に当たったぞ。女の呪いってのは恐ろしいなぁ?ゆいか。」



出所は確かに奏の懐。黒蝶が彫ってあるそれは最高級品のジッポ―で、きっと壁に投げても壊れないだろう。



しかも黒蝶、浮き彫りなんだよね。刺さった。絶対刺さったよあれ。



「は、隼人、大丈夫?」



流石にゆいかちゃんもヤバいと思ったのか、うずくまる隼人に恐る恐る近付こうとして、



「やめとけ。除霊が済むまで接近禁止だ。」



ただの嫉妬をしている奏くんに阻まれてしまう。

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