第15話

「えと、これは?」


「ん?凄いでしょ?出張先の旅館は大体押さえてるから。」



満面の笑みの隼人が私に見せているのは、隼人の禁断の手帳のほんの数ページ。


ずらりと女性の名前と電話番号・旅館の名前と住所、電話番号が並んでいる。



「泊まりは無理だからさ、日帰りで温泉ってのもいいんじゃない?」


「お前にしては良いこと言うじゃねえか。」



人差し指を立てる隼人に、奏が機嫌よくそう言うと、弘人が物凄く嫌そうな顔をしたのが見えた。



それにしても…



「何人いるのよ。」


呆れちゃう。全て女性の名前だし。綺麗な字で書かれたこれが仕事のメモとは到底思えない。


北から南まで…私が眉間に皺を寄せてそれを見ていると、隼人がそれはもう得意げに口を開いた。



「安くしてくれるんだから、覚えておいた方がいいでしょ?」


「現地妻かよ。」


吐き捨てた弘人に隼人は首を捻った。



「ちげーし。これはただのコネ。相手するわけねえじゃん。女の子は現地調達だよ。」


「「・・・。」」


「チッ、」



もはや、ドン引きの限界を越していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る