第11話

side 奏



チッ、信用がねえな。



ゆいかの嘲笑とも取れる冷たい笑みに、俺の眉間に皺が寄る。


こいつの身体がそうさせるわけだ。俺のせいじゃなくねえ?



しかも最近、こいつの身体には美しい白虎が彫られたわけで。



ゆいかが絶頂を迎える度、その画は妖艶に蠢いて俺を誘う。



ゆいかの漆黒の髪が息を乱すこいつの身体に絡まり…ベッドの上で揺らせばそれは俺に捲きついて興奮を煽る。



中毒性の高いゆいかの肢体のせいで、休養を取るべき休日の方が体力を使うという残念な現象を生み出している。



しかし明日は、こいつと普通の休日ってのを楽しんでみるのもいい。



身体が寄り添うのも重要だが、何より穏やかな時間を2人で過ごすことが大事だ。



これからの変化に戸惑わないように。




「とりあえず、会議すっぞ。」



「ふふ、なにそれ。」



明日やれることでも限りがある。俺たちの立場上、無理なこともある。だから会議だ。



そう言った俺に、ゆいかが何かを思いついたらしく、携帯を手に取った。



明らかにメールを打っているらしいゆいかに、俺の眉間に皺が寄る。



「誰だ。」


「ん?隼人と弘人。」


「あ”!?」


「出かけるなら、彼らにも知らせないとだめでしょう?だから呼んだ方が早いかなって。」


「チッ、」



事後報告で済まそうとしていた俺の甘い考えを周到にも潰してくれたらしい。

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