第4話

翌日。



ピリリリ…ピリリリ…



「出ないの?」


「・・・。」




会社への車中。まぁまぁ煩いから出て欲しいなという意味も込めて聞いてみた。



さっきまでご機嫌だった奏の眉間の皺を濃くさせている要因であろう携帯を鳴らしている主には同情するけど。



昨夜、まったりお風呂に入った私たち。そのあとベッドで襲われたのはまぁ…モゴモゴ…内緒。



そのあと2時間しか寝れなかったけど全然元気な奏はむしろ満足そうな上にご機嫌で。


なのに車に乗ってからずっと鳴り続けている携帯のお陰で不機嫌通り越して殺気まで出ていると思う。



音から察するに、プライベート用の携帯らしい。



と、なると…


「弘人、でしょ?」


「チッ、」



電源ボタン押さない時点で出ない気じゃないわけじゃないくせに。


思わずクスリと笑ってしまう。



「私が出ようか?」


「チッ、いい。」



手を差し出した私からプイと顔を背けて、奏は素早く通話ボタンを押した。



「ふふ、」


奏の機嫌を直したくて。奏の肩にこめかみを摺り寄せると、携帯を持っていない方の手で奏が私の肩を抱き寄せる。



「てめえ。しつけえぞ。」



私が奏のお腹に手を添えた瞬間、低く唸るような声音が放たれた。

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