第48話

「悦郎の兄貴も荒れててな。まぁ、自分が黒瀬が外で産ませた愛人の子だと知ってるからだろうが。」



『俺って、なんのために”造られた”のかな?』



よく、寂しそうにそう言っていた。



「だからか、自分に腹違いの弟がいると知った時、すげー喜んでたよ。」



あいつのお袋はすぐに死んじまって、息を引き取る時に言われた。



腹違いの弟と妹がいること。


これからのあいつの生活は、父親が面倒を見ること。



まぁ、よくある話だ。



「当たり前に金だけだったけどな。それでもあいつは、何も言わなかった。」



情の深い奴だった。仲間の為なら身体を張ってでも動く、そんな暑苦しい野郎だった。



「だからこそ俺は、あいつを副にしたんだ。」



俺は普通なら、頭を張る様な人間じゃないからな。ああいう熱すぎるくれえの面倒見のいい熱血バカが隣にいるのがちょうどよかった。



「ああ、確かに。彼はとても、愛情深い人間ですね。」



甘くそう吐かれた言葉は、強く、過剰な程の殺気が込められていた。



思わず苦笑する。確かに、朱雀会の黒瀬の言うとおり、こいつは極道向きかもしれねえ。

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