第36話
side 悦郎
僕の、可愛いドール。
もうすぐだね。
怖がらなくてもいいのに、”お姉ちゃん”がいないからなのか、いろははとても、怯えていた。
僕の元から逃げたりしなければ、僕はもう”お仕置き”はしないのに。
怖かったんだね、ごめんね、いろは。
郁お姉ちゃんが大好きで、離したくないのは分かるけれど、郁もいろはも、【ボク】のドールなんだ。
例えいろはでも、郁を抱きしめることは許さない。
だから、引き離す為にいろはを恐がらせようと、ゆっくりと切り刻んだのに、いろはは頑なに、郁を手放してはくれなかった。
錆びた鉄の臭い、それ以上に強く薫る、血の臭い。
ボクのドールたちは、生きている。
あの日ボクは、沸き上がるこの感情を叫びたかった。
【歓喜】
ボクのドールが、生きているドールが手に入ったという、歓喜。
それなのにボクは、この数年、何をしていた?
ボクがボクのドールから引き離され、やってきたのは、代わりのドールすらいない、寂しい空間。
周りの奴らはドールになれる資格のない、見た目。
言動もがさつで、気色が悪い。
だからボクは、そのドールになりきれない可哀想な奴らを、”開放”してやることにした。
その、屈辱的な思いから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます