第35話
強さを手に入れたはずだ。
心も、身体も。
あの時は、あっという間で。
幼い僕には、悦郎が周りの大人に守られるのを、黙って見ていることしか出来なかった。
だけど今は違う。
「潰してやる。」
低く、唸るようにそう吐き出した。
瞼を上げれば、窓の外には晴れ間が広がっている。
悦郎は僕たちドールを手に入れるため、戻って来たんだ。
それならば僕は、もうそんなことを思わないようにしてやるだけだ。
今度こそ、いろはは僕が守る。
そう誓って、再び瞳を閉じた。
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