第20話
日本人形と間違えなかったのは、瞼は降りるし使っている材質も違うみたいだったから。
日本人形を見たことがない私には完全な憶測でしかなかったけど。
ただテレビで見たことがあるそれとは違う、そう思った。
藤の木の下、私と郁が宿題をしていると、悦郎は公園に入ってきた。
女の子の人形を持って、にこにこととても、綺麗な笑顔で。
『やぁ、僕は悦郎っていうんだ。よろしくね。』
突然話しかけてきた悦郎は、自己紹介をしているのになんだか、初めて会った気がしない、そんな印象を受けた。
『誰?』
『郁、悦郎だよ。』
私を後ろでに引いて、威嚇する郁に私は、さっき自己紹介したでしょう、とツッコむ。
『いろは、それは分かってるから。なにもの、ですか?』
呆れ顔を私に向けていた郁は、にこにこ顔の悦郎を睨んでもう一度聞く。
『僕は悦郎だよ。ただの悦郎。僕のドールとこの公園に遊びに来たんだ。』
ね?そう言ってドールに同意を求める悦郎は、無邪気に笑う。
『うふふっ、悦郎って変。』
『いろは、笑っちゃだめだよ。』
私を注意しながらも、悦郎の言動に郁も笑いを隠しきれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます