第20話

日本人形と間違えなかったのは、瞼は降りるし使っている材質も違うみたいだったから。



日本人形を見たことがない私には完全な憶測でしかなかったけど。



ただテレビで見たことがあるそれとは違う、そう思った。



藤の木の下、私と郁が宿題をしていると、悦郎は公園に入ってきた。


女の子の人形を持って、にこにこととても、綺麗な笑顔で。



『やぁ、僕は悦郎っていうんだ。よろしくね。』



突然話しかけてきた悦郎は、自己紹介をしているのになんだか、初めて会った気がしない、そんな印象を受けた。


『誰?』


『郁、悦郎だよ。』



私を後ろでに引いて、威嚇する郁に私は、さっき自己紹介したでしょう、とツッコむ。



『いろは、それは分かってるから。なにもの、ですか?』



呆れ顔を私に向けていた郁は、にこにこ顔の悦郎を睨んでもう一度聞く。



『僕は悦郎だよ。ただの悦郎。僕のドールとこの公園に遊びに来たんだ。』



ね?そう言ってドールに同意を求める悦郎は、無邪気に笑う。



『うふふっ、悦郎って変。』


『いろは、笑っちゃだめだよ。』



私を注意しながらも、悦郎の言動に郁も笑いを隠しきれない。

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