第3話
郁のいない日はとても不思議な感覚で。
今まで、そんな日は沢山あったのに、それらは幸せな日々に埋もれてしまっているように思い出せない。
違う学校に行っていた時期もあったし、こうやってどちらかが修学旅行に行っていた日だってあった。
なのに、なんでだろう。すごく、寂しいのは。
「どうした?」
「っっ、ううん。」
お昼休み。いつもとは違って、教室でお弁当を囲む中、私は少し、ボーッとしていたみたい。
田中に聞かれて目が覚めたように周りを見渡せば、心配そうにこちらを見ている田中と山田が目に入った。
田中先輩と健二君は別の場所でラブラブ中。
私のナカで渦巻くこのモヤモヤとした感情は、なんだろう。
寂しい、不安、怖さ、色々な感情が私を襲う。
「寂しい?」
意地悪な笑顔で私にそう聞く田中に頷いた。
「うん。今までこんなことなかったんだけど、ね。」
今までよりも、寂しいのは、何故だろう。
鳴り続けるスマホのおかげで少しは気が紛れるけど、やっぱり、寂しい。
そんな私に田中は、さっきとは違ってとても優しく微笑む。
「それが幼馴染と恋人の違いじゃない?」
その言葉に、空いていた隙間に何かがハマった気がした。
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