第2話

[健二君と田中先輩、すっごいね。]



「家に来ないだけマシ。」



そう答える田中は、盛大なため息を吐く。


「ああ、そういえば、健二君って野球部だもんね。」



[キモいだろ?ああはなりたくないよね。]



「もっと厳しく躾けてほしい。」


「ふふ、羨ましいんでしょ?」



[だめだよ、そんなこと言っちゃ。私たちもあんな風に見えてるかもよ?]


「無いわ~。……確かに、最近男不足だけどさ。」


[僕たちは絶対大丈夫だよ。]



思わず苦笑いが漏れる。それは郁にだろうか、それとも、田中の”デキる女的発言”にだろうか。



[根拠がないね(笑)]



なんだか不思議、田中先輩と健二君カップルを取り巻く私たち。いつもとは違う光景の中、そんな事を考える。



[いろはに触れるのは、当たり前の行為だ。僕たちがくっつくのも当たり前のこと。だから大丈夫だよ。   


キス、したいね。]



「長谷川、なんで顔真っ赤なの?」


「ん?んん。なんでも、ない。」



[バカ。]



スマホをしまって。口を尖らせた。そんなこと言っちゃったら、会いたくなっちゃったじゃない。だから、お仕置き。



鳴り続けるスマホを無視して、田中に笑顔を向けた。

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