第50話
side 朔真
夏流を背後に乗せ、バイクで風を斬る。
セーブの効かない怒りのせいか、運転は荒く、夏流の掴まる力も強さを増す。
法定速度を遥かに超えた早さで滑り込んだのは、見た目も汚い、繁華街のラブホ。
「「・・・。」」
バイクを降りても、俺たちの間には会話は無く、俺は乱暴に夏流の腕をただ引いていた。
チラリと見えた彼女は、ラブホの内装をただ興味深そうに見ているだけで。
いつもの夏流の雰囲気に、内心苦笑を漏らす。
無言のまま、電光掲示板から一番マシそうな部屋を選び、更に奥へと進んだ。
そしてたどり着いた部屋は、思ったよりも綺麗な造りをしていた。
ただヤるだけの空間だったラブホテルが、最近じゃ女子会なんかで使われるような狂った世の中になった煽りか、
内装は思ったより"直接的"ではない。
しかし目に付くのは、如何わしい自動販売機と不自然に大きな鏡。
やはり若干普通のホテルとは違う雰囲気は否めない。
部屋を見渡して、中央に佇む大きなベッドに夏流を放り投げた。
「ッッ、」
悲鳴すら上げない夏流を組み敷き、ベッドに縫いつければ、嬉しそうな瞳とかち合った。
「なにが可笑しい?」
そう吐き捨てた俺に、夏流は目を細める。
「嬉しいわ。貴方が今、嫉妬に狂ってるんですもの。」
「ッッ、」
下から流れるように登って来た夏流の冷たい手は、俺の頬を流れ耳裏へと這う。
俺はその手を強く掴み、両手を再びベッドへ縫いつけた。
「お前、覚悟はあるか?」
俺の言葉に、夏流は首を傾げる。
そんな夏流の両手を左手で固定し、胸元を乱暴に引き裂いた。
見開かれた夏流の目を一瞥すると、右側の肩に歯をたてる。
「っっ、ぅ、」
伝う朱に夏流が顔を顰めた時、俺の理性は崩壊を遂げた。
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