第47話
「ちゃんと教習受けてきたのよ。」
事も無げに言った夏流の言葉に、俺は目を見開く。
「は?お前の今の状況知らねえわけじゃないよな?」
俺の低い声に夏流は小さく頷く。
「知ってるわよ?私の居場所も、私が誰といるのかも。」
そう言った夏流が愛おしそうに指先でなぞったのは、女物にしては大きめのクロス。
クロスの中央で光るのは、真珠よりも透き通った、綺麗な石が光り輝いている。
視線を滑らせれば、それと同様の石が夏流の右耳でも光を放っていた。
【対】で必ず着けられている彼らの想いの証。
夏流と朔真はムーンストーンに決めていた。
ペアの証のピアス。
束縛とGPSのネックレス。
若と弓さんはブレスだが、それが紛れもなく、彼らが【対】であることを表している。
それを羨ましがる、なんて女みてえな自分に苦笑する。
夏流はクロスを見つめていたその漆黒の瞳を俺に向け、嬉しそうに微笑んだ。
「だけど大事な教習を放って駆けつけるような人、私が嫌いなのを知ってるから、ちゃんと受けてきたの。」
幸い、今日は1時間だけだしね。
なんて続ける夏流に冷たい視線を送る。
あいつの行動、丸分かりじゃねえか。
「もう終わったみたいね。凄い多さ。」
スマホをタップした夏流は俺へと画面を向ける。
それはチャット式アプリの夏流と朔真のルームで。
先ほどからの朔真の怒涛のメッセージが鮮明に表示されていた。
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