第46話
「お前は理由知ってんのか?」
「・・・・そうね。」
コーヒーを口に含んだ夏流は、そっと目を伏せた。
その行為は、話すつもりはないと語っている様で。
新城さんを手に入れ、蓮さんをも傍に置く。
それだけで、バカ女たちのゆいかさんへの嫉妬の目は必然で。
それでもあの人たちは幸せそうに笑いあっていた。
「仲、いいよな。」
「そうね。私の憧れ。だけどね、母さんも、お父さんも、辛い事を乗り切ったから今があるの。」
父さんは分からないけど。なんて結構酷い事を言う夏流は、困ったように眉を下げた。
「なんか、不思議だよな。あの人たちの関係って。」
「そう?生まれた時からああだから分からないわ。弘くんは昔からウザかったけれど。」
「フハッ、なんか弘人さんって、いつも可哀想だよな。」
弘人さんの"可哀想な話"に花を咲かせていると、夏流は先ほどから短い振動をし続けていたスマホへと視線を移した。
「タイムリミットかしら。」
そう呟いた夏流は、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「飛んでくると思ったんだけどな。」
俺と夏流がここに来てもう1時間以上は経つ。
完全間男な俺は、飛んできた朔真からの一発は覚悟してたのに。
喫茶店の扉は一向に開く気配は無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます