第36話
「弓、ケーキは俺と食おうぜ?
夏流を見ろ。朔真しか見てねえだろ?所詮そんなやつだ。」
「いやいや、朔しか見てないのはいつものことだし。あんたこれから仕事でしょうが。」
呆れた様にそう言い返した弓に、若の顔が苦々しく歪む。
そんな彼らを余所に、康祐の前に一歩出たのは…、
「ほぅ…、貴方が安城月の若ですか。」
目を細めた壮士さんだ。
舐めるように康祐の全身を見る壮士さんに、康祐は居心地悪そうに佇む。
「・・・良い眼だ。これから新城の世界を存分に見せてあげましょう。励みなさい。」
「・・・ハイ。」
意味深な言い方の壮士さんはいつもの事だ。
そんな彼の元、康祐はこれから"新城の仕事"を目の当たりにする事になるだろう。
こいつなら付いていける。
そう確信がある。
「兄さんはほっておきましょ。弓、行くわよ。」
朔真と手を繋いだ夏流はそう言い捨ててこの場に背を向ける。
「ちょ、夏流待ちなって!じゃーねー秋。お土産のケーキ買ってきてあげる!」
「・・・・・ぁ。」
シュンとする若を置いて弓さんは爽やかな笑顔でこの場を後にしてしまう。
その後、若の機嫌は最悪で。
康祐を気の毒に思ったのはいうまでもない。
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