第35話

「最後に会ったのは山王会議ん時だが・・・、強烈だな。」



そう呟いた康祐に苦笑いをこぼす。



「あん時弓さんは左手がまだ…だから姐さんが宴会場は手伝わなくていいって言ってくれててな。

だから初めてだろ?あの2人の絡みは?」


笑う俺に康祐が若干口を開いたまま小さく頷いた。



「キョーレツ。」


「ククッ……」


呆然と若たちのいつもの絡みを見ていた康祐は、ハッと気が付いた様に表情を真剣なものに変える。


そして素早く若の前へ行くと、綺麗に頭を下げた。



「お疲れ様です。安城月組、長男、康祐っす。

今日からよろしくお願いします。」



その言葉に若は自身の胸の中の弓さんを甘く見つめていたその漆黒の瞳に冷たさを宿して康祐を睨みつけた。



「お前か、"ヒヨコ"は。」



吐き出された低音に、康祐の肩が強ばる。



「ハイッ。よろしくお願いします!」



もう一度下げられた後頭部を見ていた若は、小さく鼻を鳴らす。



「まぁ…励め。仕事は壮士に。」


「はい!」



康祐の返答に小さく頷いた若は興味を失ってしまった様で、弓のご機嫌取りに精を出しだした。

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