第28話
side 朔真
放課後を迎え、俺たちは購買へと歩を進める。
「お前さ、組、継ぎたくねえんだって?」
俺と夏流の背後からの密人と康祐の会話が耳に届いた。
「・・・・、」
何も言葉を発さない康祐に、俺も歩みを止めて振り返る。
すると険しい表情の康祐が目に入った。
「継ぐには、今の俺じゃだめだ。」
「それは・・・どういう意味かしら?」
康祐が悪い人間ではないことに、夏流の態度も若干軟化していた。
かなり面白くないが、木下とは違って、こいつはまだマトモだからな。
康祐は夏流の問いかけに前へ進みながら目を細め、口を開いた。
「俺に、"覚悟"が足らねえんだ。
極道はただの家業じゃねえ。継ぐんなら覚悟がいる。
だから、継ぐかどうか決める前に、将来新城のてっぺんを統べる人たちを見たいと思った。」
そしてゆっくりと夏流へ視線を滑らせた康祐は、ゆるりと口角を上げる。
「覚悟が決まった時、隣にお前がいれば、なおいいな。」
「ッッ!!」
その刹那、俺の体は弾かれたように動いていた。
夏流へ向いていた康祐の誘惑するような視線は鋭いものへと変化し、険しく細められる。
それは俺の繰り出した膝蹴りを腹ギリギリで止めたせいだった。
しかし俺は、息すら吐く暇なんて与えるつもりはない。
俺の膝を止めていた手を捻りあげると、奴の重みを利用して廊下へと沈めた。
「イツッ、」
どうにか腰を打たずに済んだ康祐が咄嗟に付いた手を摩って痛がっている間、
俺の足は奴の頭を沈めるべく素早く動く。
しかし・・・、
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