第18話
訝しげな表情の夏流の漆黒がメモの文字を流れるようになぞるのを、ただ見つめる。
読み終わった彼女の瞳は、細められ、
「プッ・・・クスクスクス……」
ツボに嵌った様だ。
爆笑する夏流は、口元を手で覆ったまま、肩を揺らす。
これが彼女流の爆笑だと分かるのは、新城関係者と、俺と密人だけ。
密人は呆れたようにため息を吐いて夏流の机の上のメモを高くあげる。
俺に伺いをたてた密人に小さく頷くと、密人はメモを読んで鼻を鳴らした。
「夏流・・・浮気すっか?俺と?」
「ブッ!……ッ、ッ、」
最早収拾のつかない夏流の笑いは、密人の一言で止むどころか更に悪化した。
「密人てめえ、冗談でもうぜえ事言うな。
しかも悪化しちまっただろうが!」
俺の抗議の声にも、密人は鼻を鳴らすだけ。
「フン、どうせ昨日グランいったのお前とだろ?
お前の髪、綺麗なブロンドすぎて銀に見えてもおかしくねえからな。」
「・・・てめぇに褒められても嬉しくねえ。」
最近銀髪にした密人は、染めても痛むことのない自身の髪をかきあげた。
弓をあんな目に合わせた男が、金髪のロン毛だという情報を俺から聞いたのは、若の自宅を訪ねた後すぐだった。
すんげえたまにある夏流と姐さんのショッピング。
俺とオヤジさんはついていけない。
姐さん曰く邪魔らしいからな。
だからそんな日は白虎の倉庫に遊びに行く。
幹部部屋で、なんとなくな会話の中、出てきた話題。
「そういえば、あん時どうしたんだろうな?弓さん。」
そんな伸吾の訝しげな声は、タバコをふかす密人へと向けられていた。
「・・・・ああ、部屋行った時か。」
そんな密人の声に、俺は首を傾げる。
「何があった。」
そんな俺に答えたのは、可愛らしく首を傾げた伸吾。
「なんかさ、部屋の扉を開けるなり、密人見て怯えちゃったんだよね。
・・・やっぱり、男が怖いのかなぁ?」
哀しげに瞳を揺らすこいつらは、どうやら彼女の事情を知らないらしい。
「弓はな、"金髪"が、ダメなんだよ。」
「「「「「!!!」」」」」
罪悪感からか顔を険しくさせていた武光と悟は更に表情を歪め、
密人・伸吾・智は驚きに目を見開いた。
俺でも事前に行くと言っておかないと精神的にダメージを受ける。
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