第15話
「広子っていうのよ?弓の親友。」
「うわ、そいつもの好きだな。」
苦笑いをこぼす密人は、同意を求めるかのように伸吾へと視線をすべらせる。
まだ若干顔色の悪い彼はぎこちなく頷くと、自分を落ち着かせるようにいちごミルクを口に含んだ。
「フフ、でもあの鬼畜に操縦されてないの。
そこがいいんじゃないかな?」
「・・・・すげーなそいつ、マジ尊敬するわ。」
壮士に操縦されないような強い人間は、新城には沢山いるけれど・・・、
私は小さく頷いた。
「そうね、その辺の女にいるとは思わなかったわ。さすが弓の親友ねぇ。」
彼女たちの事を考えると、沸き上がる笑みを抑えきれない。
「・・・そうだよ、な。あの弓の親友になるような女だもんな。」
弓の話になると、彼らの目は哀しみで揺れる。
護れなかったどころか、護ろうともしていなかった人間が犯した罪。
それは白虎全体の罪として彼らの背中に影を落とした。
密人はあれから、白虎の粛正をした。
本間武光(ほんまたけみつ)と香川悟(かがわさとる)は地位は変わらないものの、第一倉庫への出入りを半年間禁止とされ、
下っ端がやるべき毎日の見回りを厳命されていた。
勿論、暴走への参加も禁止されている。
特攻隊長である悟がそれを甘んじて受けている事に驚きが隠せないけれど・・・、
やったことを考えれば甘い処分だった。
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