第10話
下駄箱でシューズに履き変えれば、なんとなく学生だという実感が持てる。
私の生活環境が既に普通ではない事で、なんとなく学生であることを忘れがち。
「フフ、確かにグランから直接通うのは普通じゃないわね。」
「・・・・お前、なんで今更そう思うんだよ?」
不思議そうに悪態をつく朔真と廊下を歩いていると、ホームルームを終えた生徒たちが廊下に吐き出される。
しかしガヤガヤと煩かった彼らは、私達を見つけると一様に口を閉ざす。
静まり返った廊下に、時間を遡ったかの様な錯覚を覚えた。
そんな中、もう気にしない私達は廊下をひたすら歩く。
すると、背後から聞こえたのは、
「朔真くーんっ。待ってぇ!」
「「・・・・・、」」
こういった人間は、空気を読むということを知らないらしいわね。
それとも、
そんなこと気にしない程の強靭な精神をお持ちなのかしら?
結局は朔真が先日彼女を受け入れてしまった事で、この女は"調子に乗った"みたい。
腕を絡ませ、ただのクラスメイトだった事が私より上の立場だと言わん限りのあの嘲笑は、今でも失笑が漏れる程。
「チッ、」
朔真の履き捨てるような舌打ちに、私の方がため息をつきたいと軽く睨んだ。
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