第33話

「やりすぎって?」



再度聞き直した僕に、伊吹がイラついた様子で口を開いた。



「お前、自分の人気、分かってんの?」


その質問に答えるには、僕の中で材料が足りない。



「別に、モテないとは思ってないけど、ね。」


目の前の坊主の方がモテていると本気で思うんだ。


伊吹が告白で呼び出される回数は僕の比じゃない。


羨ましいわけじゃないけど、基本胸で判定してるこいつの振り方は最低だとだけは思ってる。



それだけしか答えられない僕に、伊吹は舌打ちを吐き捨てた。


そんな失礼な態度に、僕の眉間に皺が寄る。



「お前に告る女の子が少ないのは、お前が怖いからだろ?」


「何もしてないんだけど。」


怖い?確かに、視線を向けただけでびくつかれることはあるけど……



「いろはは僕に怯えたことは一度もないよ。」



自信を持って言えた。いろはは誰よりも、僕を信頼してくれてるし、気を許してくれる。



口角を上げた僕の口を、伊吹がごつごつの指で摘まむ。



「惚気んな!俺は今……お前のせいで傷心中なんだ……」



どうやら僕がなにかしたらしい。


確かにここ数日は、いろはの事しか考えてなかったせいか伊吹についての記憶が曖昧だ。

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