第27話

side いろは




郁と一緒にいるといつも、こんな視線に晒される。



私を憎んでいるような、イラついた目。


私の存在が、女の子たちにとってとても疎ましく思われていることは分かってる。



だけど無理なの。郁だけは。郁の隣だけは、私以外が立つことは許されないから。



これは郁が決めたこと。


・・・私が望んでいること。




2人の、必然だから。




だけど高校生ともなると、小学校、中学校では比較にもならない程の強い視線が突き刺さってくる。


きっとやることも手酷いものが多いんだろうな。



小さくため息を吐いて、あからさまな視線を浴びながら、1年と2年の靴箱の境界線の辺りで佇んだ。



少しだけ待ってみても、郁が来なくて。


靴を履きかえるだけなのになんだか遅いから。



そっと、2年の靴箱を覗いてみた。



1列目は、外れ。


何人かが靴を履きかえているだけ。



そういえば、郁は2組だったことを思い出して。


2列目を覗いてみた。



初めに視界に入ったのは、女の子たちの後ろ姿。


次に見えたのは、その子たちに道を塞がれている、不機嫌な郁。



なんとなく、その場の雰囲気が良くない。

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