第26話
寂しさを抱えたまま上靴に履き替えていると……
「あ、の、蓮池くん?」
背後からいろはじゃない女の声が聞こえた。
振り返れば、なんとなく、見たことがあるような女が友達と3人で立っていて。
「なに?」
「っっ、」
首を傾げただけなのになぜか、怯えている。
一瞬、小さく息を呑んだ女は、後ろの友達らしき女たちに急かされて口を開いた。
「あの、さっきの子……誰?」
その質問に、眉を顰めたのは当たり前だ。
当然の疑問かもしれないけど、なんとなく、嫌な聞き方だから。
ネクタイの着いていない僕の胸元をしっかり捉えたままの彼女たちの視線を見れば何が聞きたいのか一目瞭然だし。
確信、してるでしょ?
「僕の彼女だけど。」
「えっ、嘘っ、」
口を手で覆った女たちに、顔をしかめた。
なんで他人にわざわざ嘘つかなくちゃいけないわけ?
すると僕の顔を見上げた女たちは一瞬グッとなにかを呑みこんで、不機嫌そうな表情を見せた。
何も言わない女たちが僕の前を三列で塞いでいるから、当たり前だけど通れない。
もう履き替えているのに。早くいろはに会いたいのに。
先に進むため、口を開こうとした時だった。
「・・・・郁?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます