第24話

「なんか、すっごい、見られてない?」



また?なんてイラついた声を吐き出したいろはは、機嫌を一気に損ねてしまったらしい。



僕はどうやら、”モテる”らしい。それがどの程度なのか分からないけど、いろはの機嫌を損ねる程度であることは確実だ。



別に告白をバンバンされたこともない。


数人はいるけど、大体はなんだかグイグイ来るタイプの女ばかりで。


モテるという意味は多分、そんなタイプの女に、なんじゃないかなと思う。



よく周りの人間はいろはを【小動物】だとか、【天使ちゃん】とかいうけど……



とんでもない。



「この学校も、”大変そう”」



フワフワの毛先が風に流される。それを更にふわりと翻して、いろははそう言った。





いろはの笑顔の底に隠された表情に、



僕の顔は、熱くなる。




あの時僕が堕ちたのは、引き込まれそうなほどのいろはのこの眼にだ。



「いろはって、良い性格してる。」


「・・・褒め言葉として受け取っとく。」



唇を尖らせたいろはの目には、さっきまでの禍々しい雰囲気は無くなっていて。



少し残念に思いながらも、学校が近づいたことでそんないろはを僕以外に見せたくないから、安心もした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る