第22話

だから僕といろはが学校が重ならない年は、お互いに不安定になる。



しかもなぜか今年の受験、うちの高校の倍率が凄くて。


いろはは勉強漬けだった。



頭いいのに。落ちたら最悪だからって。



それはそれで僕は、美味しい思いをしたんだけど。


つきっきりで、勉強を教えられたから。



ピロリン♪ピロリン♪



昔のいろはに意識が向いていた僕の思考は、相変わらずの音によって現実に引き戻された。



「いろは?僕が気を抜いてる時に撮るのはやめなさい。」


「え?だって……1番郁の素が撮れていいんだもん。」



そう言いながら、最後にいろはが映したのは、僕といろはの絡んだ手。



「それは送って。」


「承知の助!」



変な返事を返したいろはは、嬉しそうにスマホを操作している。



すぐに僕のポケットの中が震えて。


空いている手でぎこちなく画面を押せば画像がアップされた。




大きく開かれたそれは、僕といろはのいつもの写真。


だけど。


僕たちの着ている服の袖が高校バージョンになっていた。



「待ち受けだから。」


「うん。」



僕たちはいつも、待ち受け画面をそれにする。



僕たちがいつも、繋がっている証だから。

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