第20話

あれ?この子なんで泣いて……



「ごめんなさいっ、私みたいなのに好かれて、迷惑だよね?」


「は?」



ボロボロと涙を流す女の子は、ハンカチで涙を拭きながら俺に謝りまくってて。


今、なんか聞こえたんだけど。


「ごめんねっ。もう、話しかけないから。」


「いや、あの、」



もしかして、郁じゃなくて俺です?



そう気付いた時には、女の子は泣きながら走り去ってしまった後だった。



俺の上げられた手だけが、空しく浮いていて。


「ちょっと福田!あれどういうこと!?」



そんな俺の肩をクラスのギャルが強めに叩いたから。



「うっせー!お前等のせいだ!」


「えっ、なに!?ウチらなんかした!?」



ビビるギャルを振り切って、俺は走った。



自慢の俊足で。



『福田!高校生にもなって廊下を走るな!!』


「・・・。」



先生の怒鳴り声で、徒歩に変えたけど。



これは、文句を言うべきだ。



忌々しい郁め。俺は今、お前のせいで巨乳ちゃんを逃がしたんだ。


顔はいまいちだったけど、あれはDはあったぞ!




巨乳の恨みは怖いもんね。



鼻息荒く、教室のドアを開けた。

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