第19話
「どういうこと?」
「はぁ。」
今日何度目かも分からないこれ。
いい加減うんざりだった。
「ちょっと福田、あれどういうこと?」
あの後、熱烈な抱擁をよりにもよって校門でしやがった郁。
部活生しかいなかったとはいえ、目撃者がいないわけがない。
派手。派手だよ。
「福田!あれなに?」
自分が人気者って自覚があるんだろうか?
「あの、福田くん?」
「いい加減にしろよ!」
朝から何度も何度も。
俺が教室に着くまで何度も聞かれた。
朝練で疲れてる俺を攻撃するのは、郁のファンだけじゃない。とにかく知り合いという知り合いが俺に聞いてくる。
目の前で目を見開いているこの女の子みたいに、知らない奴も混じってるけど。
みんなの視線の先は、今まさに校門を潜ってこっちに歩いてきている2人だろう。
ごく普通の手を繋いだカップル。彼女の首には彼氏のネクタイ。
そして学校中の視線が向いているのはその彼氏の方だ。
郁くん?ちょっと色々と考えなさすぎじゃない?
「っっ、福田、くん、」
眉間に皺を寄せた俺が女の子へと視線を戻せば、何故かこの子は目いっぱいに涙を溜めている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます