第12話
「お疲れっした~!」
いつもは暗くなるまでやらされる練習も、なぜか今日が入学式なだけで早く終わった。
帰ろうと外に出れば、入学式が終わったらしい新入生たちが親と帰っている姿がチラホラ見える。
「可愛い子いるかなー。」
「俺女は年下がいいんだよね。今年は励まねば。」
「なにそれ卑猥~。エッチ~。」
チームメイトたちのバカ会話を背後に聞きながら、そんな俺も可愛い子がいないかと目を凝らした。
そんな時。
一人、校舎からゆっくりと歩いてくる男。
そいつはいつものカバンを肩にかけて、ただまっすぐ、校門を目指していた。
「・・・郁?」
帰ったと、思ったのに。
いつものように歩いていた郁は、少しだけ視線を上げて。
何かを見つけると、歩を速めた。
郁の視線の先には、校門に立つ親子。
その子の顔は遠くて流石に分からないけど、真新しいうちの制服に身を包み、父親と2人、何か話しているのは分かった。
そんな彼女がふと、父親から視線を外す。
何かに気付いた彼女が、恥ずかしそうに少しだけ手を上げた時、近くまでたどり着いていた郁はゆっくりと、ポケットから手を出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます