第10話

井上は、黒い噂が絶えない。



夜な夜な繁華街で男をひっかけてヤリまくってるとか、気に入らない奴は焔を使って潰してるとか。



いや、事実なんだけども。



本人たち曰く、快楽主義らしいこいつら。付き合ってはいるが別々に相手がいつもいる。



郁の噂のもう1人の相手だった。



可愛いけど。こんなんと付き合うならにこと付き合って欲しい。



「蓮池、お前調子乗んなよ?」



阿部の脅しを一瞥した郁は、井上から無理矢理腕を外すと、すたすたと歩き出してしまう。



暴走族の頭無視できんの、こいつくらいじゃない?マジ怖いんですけど。



「あー、待ってぇ。」


「は、蓮池くんっ、」



郁を追う、正反対の2人。


どちらがあのネクタイを獲得しても、俺が疲れる気がする。



郁の背中を鋭く睨んでいる焔のみなさんに、ヘラリと愛想笑いをして。



こそこそと、郁を追いかけた。



ーーー、




『もうすぐで、新入生が入ってきますが~~、…で、~~、』



校長の話を聞きながらスマホを弄る郁の隣で溜息を吐いた。



あの後にこと井上の攻防は白熱していて、それを郁が一括。


「邪魔。」


その一言で引き下がる彼女たち。いや、可愛いんだけどね?

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