第8話

郁とにこが付き合っているという噂がある。


もう1人、その噂の相手がいんだけど。



ネクタイを見て分かるように、噂はガセだ。



だけど俺は、2人のどちらかがそれをすることになるんじゃないかと思う。




『移動しろ~!』



いつの間にか来てた先生が大声を出して、教室移動するため、思い思いに歩き出す。



「蓮池君、福田君、一緒にいこ?」



郁側から、郁の名前を先に呼ぶにこがそう言うのに、頬を緩めてOK出したのは、俺。



にこ、マジ可愛くね?天使すぎ。



「蓮池君、宿題やった?」


「やったよ。」



会話が思いつかなかったのか?


そうだよね、なんて焦って頬を染めるにこがまた、天使すぎ。



こんなに可愛いにこがアプローチしてんだから、いつか落ちんだろマジで。



「あ、郁!」



そんな呼び声に、郁が歩みを止める。


にこが少し顔を顰めて、体育館の中から郁を呼ぶその女を見た。



「久しぶりじゃない?春休みなにしてたのー?」



うちの学校、校則厳しくはないけどさ、その色はヤバくね?



金に見えるくらいの茶髪を巻いているギャルが、厚く塗ったグロスを尖らせる。



でもさこいつ、派手なんだけど……

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