ネクタイの行方

第7話

side 伊吹




「ちょっと郁聞いてる?」


「ん?んん、」



否定とも肯定とも取れる返事を返した郁は、相変わらずのイケメンだ。



俺が顔で勝てないのって、こいつくらいだよね。



外を見ているせいか、眩しそうに伏せられた郁の目。


まつ毛長い。つけましてる女子より長いんじゃね?



1年の時、名前順に並んだ席で、俺と郁は前後だった。



それからなんとなく、話だして。気が付けばつるむようになってた。



俺の話の大半は無視しやがるけど、話も合うし、気も合う。



結構、付き合いが長くなるかも、な。



「にこ!宿題やった?」


「ふふ、何言ってんの?してないとヤバくない?」




会話が耳に入って桜を見ている郁から目を移した。



にこは女バスのキャプテンで、俺と違って勉強もできる。確かこないだの期末は3位だったもんな。


しかもこの容姿。


しかもあの足。マジ可愛い。



「伊吹、涎出てる。」


「へ?」



無機質な声に目を向ければ、郁が不審者を見る目で俺を見つめていた。



「健全な男子生徒の反応だっつの。」


「・・・。」



頬を染めた可愛い俺をついに軽蔑の目で見だした郁。流石に傷つくし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る