第43話
あの女が羨んでいた存在。まさに現代に生けるプリンセスだ。
そんな女が、なぜ、俺を?
その疑問は深まるばかりだが、初めて告白をされたその日、彼女の”真剣さ”は分かったつもりだ。
まっすぐに俺を見つめるその目には、傲慢さも、欺瞞もなく。
ただ一心に、俺を好きだと語っていた。
正直、グッときた。それでも断ったのは……
俺の、事情だ。
俺は……
結構惚れやすいと思う。その辺の高校生並みには。
いいと思った女は気になってしょうがなくなるし、
目が合おうものなら有頂天になる。
胸や尻が気になるのは当たり前だ。
そこまでなら白坂と付き合えばいいと思うんだが……
ハッと気が付いた。目の前には、俯いていて顔は見えないけど白坂頼がいて。
震える唇を見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
人気のない廊下の端。昼休みももうすぐ終わろうとしているこの時間は、生徒がまばらだ。それでも数人はいる。そいつらは俺と白坂頼を見てなにかひそひそと言い合っていた。
明らかに泣いてる感じの白坂頼の手を引いている俺。
普通に見れば、修羅場だ。
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