第34話

side 光里




灰島 奈津実(はいじまなつみ)最近黒蜜の周辺をうろいている女の名前だったりする。



「あーあ。」



そう零した私の視線の先には、休み時間の10分だけでも惜しいとばかりに黒蜜の机に張り付いている灰島。


満面の笑みでなにかを話している灰島の甘い視線の先には、これまた笑顔で話している黒蜜がいる。



突然現れた彼女。本当に突然だった。



突然校門で挨拶をしてきたかと思えば、それを期に話すようになって。


クラスでもなにかあれば黒蜜に話しかけだした。


宿題で分からないことや、授業のこと、世間話なんかもちょくちょくするようになって……



そして1週間後には、この有様だ。


周りは勿論、喜んでいる。どうやら灰島と黒蜜が付き合っていて、頼はやっぱり振られていた、そういうことになっているから。


ご丁寧に灰島ちゃん、朝の頼と黒蜜の日課にも手を出していて、恋のライバルというなら頼が圧倒的に負けている。



これ!これだって!私と流が頼にしてほしかったのは。


ここの所の灰島は、アプローチをする側としては完璧な近付き方を使ってる。


しかもどうやら彼女は、頼と違って話も上手いらしい。

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