ライバル?

第33話

毎朝の校門から教室まで、私はこれまで感じたことのない幸福感を味わっています。



幼稚舎から、私と光里と緑谷君、基本的にこの3人で行動していた私たちに、黒蜜君という存在が加わった。それだけでなんででしょう、楽しさが倍増です。



そんな朝が当たり前となってきた頃、私と黒蜜君は朝以外でも、言葉を交わすようになりました。



私、結構頑張ってないです?そう思っていた頃、彼女は現れました。



「黒蜜君、おはよう。」


「え?ああ、おはよう。」



ある日の朝、もうすぐ靴箱というところで、背後から黒蜜君に声がかけられました。


それに挨拶を返した黒蜜君に、その子はにっこりと笑い返します。



そのまま彼女はなにを言うこともなく、私たちに背を向けて行ってしまいました。



「……。」


「白坂さん?」


呆然とする私に、黒蜜君の不思議そうな声がかけられます。


ハッと我に返り黒蜜君を見ると、彼はただ、まっすぐに私を見つめていました。



「いえ、なんでも。」


「そう?」


彼女も私たちと同じクラス。クラスメイトである黒蜜君に挨拶をしただけ。そう、思います。



だけどなんででしょう。踵を返す時一瞬私に向けた目が、なんとなく……あまり良い予感をさせませんでした。

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