クラスメイト

第19話

side 頼




「「……。」」



なんとなく、会話はないですが、私たちは今、一緒に歩いています。


背後では楽しそうに話す光里と緑谷君の声が聞こえてきます。


きっと2人は今、恋人の証であるあの行為をしているのか、と。



「指を絡めるなんてっ、」


「え?」



思わず黒蜜君としているのを想像してしまったのがいけなかったのでしょうか。不思議そうにこちらを見ている黒蜜君の視線に耐えられそうにありません。



「な、んでもありません。」


「そ、う?」


「はぁ。」


「「……。」」



2日目なのに、私たちの間に会話はなく。


光里とはどれだけでも話せるのになぜでしょう、話題が浮かびません。



そう思って気が付きました。



「黒蜜君……」


「ん?」



私は最近光里と、黒蜜君の話しかしていません。



「白坂さん?」


「はい。」


まだなにかあるはず。私と光里の間には。



「白坂さんっ。」


「はい?」


少し強めに呼ばれて振り返れば、私たちはもう教室の前に来てしまっていて。


困ったように笑う黒蜜君が手を挙げた所でした。



「じゃぁ。」


「あっ、」


教室へ入って行こうとする黒蜜君はふと歩みを止めて、その綺麗なブラウンの瞳を細めて私の次ぐ言葉を待っています。

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