第17話

side 光里



「だめらしいよ、”お嬢様”。」


「は?」



黒蜜はいわゆるお嬢様という人種が嫌いらしい。


お嬢様でも最上級に位置する白坂頼に好かれているのに、とても贅沢なことだと、流は笑った。


それは中学の時に同じ学校にいた子が原因らしいけど。


付き合ってたとかそういうのじゃないらしいけど、どうやらその女はあまり”良いお嬢様”じゃなかったようだ。



「マイナスなイメージしか持ってないお嬢様に告白されたらそりゃ戸惑うよね~。」


「そんなの、偏見じゃん。」



口を尖らせた。


世間的なイメージだろうか。お金持ちは傲慢で、自分勝手。お嬢様はその立場を利用して人を虐める。



そんなの、世間が勝手に植え付けたイメージにすぎない。



「でも俺たちもさ、黒蜜みたいな”凡人”は下に見てるだろ?」


「……。」



それに否定はできなかった。だって頼が黒蜜に告白をした時、正直釣り合わないと思ったから。


それこそ人から見れば、傲慢でしかなくて。


思わず俯いてしまった。



「人の生まれの差で、ギャップが出るのはしょうがないことだと思うよ。文化が違う。」



そう言った流も、国内に何店舗もある有名ヘアサロンを経営している両親の元に生まれた。


何不自由なく育ってきた私たちは、それができない人間たちを理解するのは大変だ。

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