第15話
身長が160しかない流は、男というよりもちびっこという言葉が当てはまる。
だけどなんででしょう?
……相変わらず美味しそうな唇。
流が笑うだけで、周りにお花畑が咲く。
なのに流の目が、骨ばった指先が、私を誘うんだ。
このギャップが堪らない。
「なんかさ。」
「……うん?」
思わず顔を近付けていた私を制するように、タイミングよく話し出した流は、思いの外近い自分たちの距離に気付いて目を見開いた。
「ふふ、朝から好きだね光里。」
「私を変態みたいに言うのはやめなさい。」
艶を出す流は楽しそうに笑う。
自然にお互い、指を絡めて、頼たちのあとを追った。
私たちとは違って、人半分くらい距離のある前の2人。
その背中を見つめながら、流は口を開いた。
「理由は分からないけどさ、文人が悩んでたみたいだから。」
「頼がしつこいから?」
そう言った私に、流は首を横に振った。
「結構深い話だったりするんだけどね。」
朝のざわついて浮ついているこの雰囲気には似つかわしくない流の真剣な雰囲気に、思わず黒蜜の後ろ姿へと視線を移した。
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