第11話

その瞬間、彼らには”何かしら”の不幸が起こる。


基本的には、


『白坂頼を泣かせた。』


という汚名を着せられる。



どうやら、黒蜜の危機を聞きつけた頼が、とても都合のいい場所でそれを嘆く。


『こんなことを聞いたけれど、貴方はそんなことしないですよね?』


と、涙ながらに訴えるんだ。


それを聞きつけたファンクラブが知らぬ間に彼らに制裁を加える。


ちょっと、頼ちゃんったらコワイ。



黒蜜もそれに気付いているから振るんじゃないの?


私ならこんなに腹黒い彼女嫌だし。



一高校生のただのいじめの企みが、実行される前に頼の耳に入る。それって結構、大変なことだと思う。


どうやら頼の”情報収集能力”は普通じゃないらしい。



さすが白坂家。



「あ、」


頼の声で我に返って見ると、今まさに帰ろうとしている黒蜜の背中が。



「く、黒蜜君っ、」


「え?」



慌てて彼に近づいた頼は。



「さよなら。」


もじもじと、頬を染めてそう言った。


「「「……。」」」



とりあえずの間。黒蜜を含め、その場に残っている生徒みんなが。



そして黒蜜は、ぎこちなく笑う。


「ああ、さよなら。」


「っっ、」

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