第10話
side 光里
『気まずいくらいなんなのよ。それ以上にあいつは守られてるでしょ?』
そう言おうとして、口を閉じた。
目の前で今にも泣きそうになっている、”見かけ聖女”の頼。
こいつの本性を、私は知っている。
頼の人気は幼稚舎からずっと続いている。
頼が廊下を歩けば皆の視線が集まるし、頼が笑えば、ため息が聞こえる。
頼が水泳の授業に出れば、規制がかかるほどだ。
社交界でも、政財界でも、頼の人気は爆発的。
いい年のおっちゃんたちが、愛人にと、息子の嫁にと、頬を緩めている。
そんな頼が突然、公開告白をした。しかもその相手は、”平凡”を絵に描いたような黒蜜。
たしかに受験組トップらしいから頭はいいかもしんない。でも、顔はそこそこ。うん普通。
そんな奴に、頼は振られ続けているわけだ。
私から見たら、変わった趣味の頼がひたすら黒蜜に迷惑をかけているだけに見えるんだけど、周りの人間にはそうは写らない。
特に頼に好意を持っている男子生徒たちにはね。
当たり前なのかは分からないけど、勿論奴らは、黒蜜をターゲットに虐めようと動き出した。
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