第9話
黒蜜君は、初めの告白の時、とても辛そうにしていました。
ああ、彼にこんな顔をさせてしまった。そう思っただけで私は、胸が張り裂けそうでした。
それでも、彼への思いは止まりません。
いつも我慢ができなくなってしまって、何度も告白する私に、黒蜜君はいつも辛そうに、そして真摯に向き合ってくれます。
「振られ、ました。」
「はいはい、ごくろーさん。」
教室に帰れば、もう光里の応対が適当すぎて。
こんなに慣れるほど、黒蜜君に振られているのだと、逆に悲しくなってしまいました。
「はぁ、」
ため息を吐いて、涙を堪えます。だって、泣いてしまったら黒蜜君がもっと気にしてしまうから。
諦めればいいのに、私はいつも、黒蜜君を傷付けてばかりいます。
「諦めた方が、いいんでしょうか?」
友達と一緒に話している黒蜜君を見つめ、ぽろりとそう、本心でないことを言ってしまう。
「諦められるの?」
私の本心を理解している光里は、挑発的にそう言います。
思わず、黒蜜君から視線を逸らして、自分の握った拳を見てしまいます。
「今のままじゃ、傷付けてばかりだから。」
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