第8話
私は、生まれ持ったもの、そして出逢ってきた人々には全て、意味があると思っています。
いい人も、悪い人も、私には必要な人間たちだったのだと。
親に用意された立場、親の後ろだけを歩く道。周りのみなさんはそう言いますが、私はそうは思いません。
親の用意した道ならば、私はそれをもっと、大きくする。
そして自由に歩ける道に作り替えてしまえばいいのだと、そう思います。
お兄様はそうは思わないようですが、私は、お父様たちの元に生まれたからといって、自由を奪われてしまうのは理不尽なことなのだと思うのです。
ありきたりですが、私にとって恋愛はそれに該当します。
これまで社交界で色々な男性に会ってきましたが、誰も私の目には輝いて見えませんでした。
勿論、良い方も居ましたし、傲慢な方もいらっしゃいました。
それでも私のこの胸は、少しも疼いてくれなかったのです。
黒蜜君は、初めから違いました。
入学式前、お父様たちや光里と離れ、一瞬だけ一人になりました。
その時すれ違ったのが、黒蜜君でした。
優しそうなご両親と歩いていて、私とすれ違っただけでしたが……
私は確かに、黒蜜文人に惹かれました。
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