鉄壁の黒蜜
第7話
side 頼
「ごめん。」
今日も、黒蜜君は申し訳なさそうにそう言いました。
その瞬間、胸を刺されたような痛みが走って。
顔を歪めた私から視線を逸らすように黒蜜君が背を向ければ、その痛みが増して私の目から涙が流れます。
ああ、また、振られてしまいました。
だけど落ち込む間もなく、黒蜜君の後ろ姿に魅入ってしまいます。
彼の黒髪が風に攫われ、彼はそれから髪を守るように手で頭を撫でました。
ああ、その指先が、その目が、私だけに向いてくれるといいのに。
風にさえ、嫉妬してしまいます。
黒蜜君の柔らかな目は、私を引き込んで放しません。ブラウンの瞳は、まさにブラウンダイヤモンドそのものです。
色とりどりの宝石よりもそれは、私には輝いて見えます。
「は、ぁ、」
涙のせいで震える吐息を私が吐き出した時、黒蜜君は校舎に姿を消してしまった。
教室で会えるというのに、私にはそれがとても苦しくて。
彼がとても遠い存在に感じてしまう、瞬間です。
「好き、です。」
もう一度、言葉を紡ぐ。それだけで、私の心は黒蜜君に支配されてしまう。
彼を、困らせてしまっているのは、分かっているけれど……
私は彼を、諦めることはできそうにありません。
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