第5話

そんときのことは今でも思い出し笑いをしてしまう。


顔を真っ赤にした頼が「お付き合いしてください。」と言った先の黒蜜は目を丸くして固まってたし、教室中の新入生たちもは?って顔で見てた。


教室を出ていこうとしてた教師も滅茶苦茶びっくりしてたしね。



そんな彼女に黒蜜は。


少し考えた後、しっかりと彼女に目を合わせた。


そして、困ったように言った。


「ごめん。」



私の考え違いじゃなく、頼が告白をすればそれが例え女子でも、思わず頷いてしまうんじゃないかな?


だけど黒蜜はこの時、少し考えただけであっさりと断った。



頼が告白を断られたことで、呆然とする私を含めた一同。そんな私たちを他所に、黒蜜はとても、申し訳なさそうに頼を見て、視線を外した。


すぐに、教室から出て行ってしまった黒蜜。それを見つめる頼の背中は、儚さを漂わせていた。



それから今まで。頼は定期的に、黒蜜を呼び出しては告白している。


返事はいつも決まってる。


「ごめん。」


そして、その回数が増えるほど、黒蜜の気まずさが増しているのは一目瞭然だった。

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